服部考規公式サイト

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写真作品2A1 写真作品2A2 SIGMA DP1 Merrillについて1

単板センサーに比べて不利な点が多いにも関わらず採用を貫く姿は、さながらロータリーエンジン搭載の自動車を見ているかのようだ(残念ながら現在は開発休止状態だが……)。
取扱いの難しさゆえに"そう簡単には満足のいく作品を撮らせてくれない"じゃじゃ馬でもあるが、カメラと撮影者の呼吸が合った瞬間の描写力は唯一無二の存在である。

SIGMA DP1 Merrillについて2

カラー画像を生成するために単板構造のセンサーでは必ず必要になる、受光素子ひとつひとつへのカラーフィルターの存在。フィルター配列は様々あれどその構造上、多かれ少なかれ色モアレや偽色が生ずる。それを軽減するためにはローパスフィルターを用いるか、画像処理エンジンで目立たなくするのが一般的であり、それに伴う解像度低下とのバランスをとらなければならない。
対して単板センサーを三層構造にした垂直色分離方式のセンサー「Foveon X3」は、シリコンウエハーを透過する光の波長の違いを利用して色を識別しているため、カラーフィルターを必要としない。それゆえ色モアレや偽色を軽減するためのローパスフィルターや画像処理が不要になり、他を寄せ付けない高解像度が生まれるというわけだ。

SIGMA DP1 Merrillについて3

いいことずくめのようにも感じてしまう垂直色分離方式センサーであるが、三層構造が災いして色の再現性は単板センサーと比較するとやや不利なのが現状。三層の最下層に位置する赤色受光層にはどうしても光が届きにくいため、光量不足では長波長域の正しい色が認識されにくく、露出アンダーにならないよう大変気を遣う。また三層で色を分離する際のズレを出さないためにもレンズに高いテレセントリック性が要求され、広角レンズでは周辺の色収差や、逆光時に色かぶりが起きやすいという厄介な欠点も持ち合わせている。

ただし、これらを軽減すべく最適化された純正RAW現像ソフトウエアの利用、逆に前述の欠点を避けることができる撮影条件(例えば光量の十分にある順光の被写体や、逆に太陽光の全く存在しない夜景など)なら全く気に留める必要がない。存分に「Foveon X3」の底力が発揮されるだろう。もっとも、夜景撮りにとっては最長30秒までしかないシャッター速度が物足りなくも感じてしまうので、次世代に引き続き期待している。

Text:Takanori HATTORI

写真作品2A3 写真作品2A4 写真作品2A5 写真作品2A6

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