RGB三色のカラーフィルターを4個一組で敷き詰めた通常のセンサーとは異なり、独自のパターンで配列させた36個を一組として周期性を弱めモアレを抑えた「X-Trans CMOSセンサー」。
ローパスフィルターレス構造が可能になり1630万画素ながらワンランク上の高解像度を実現している。この特殊なセンサー形状が仇となりRawデータの取扱いに関してはやや難ありとも言われているが、わざわざパソコンでRaw現像をしなくてもいいくらいにJPEGデータの出来がよいため心配は無用。独自の画像仕上げ設定「フィルムシミュレーション」のお陰で、直感的に仕上がりを決めることが可能だ。"撮影時にすべてが決まる"ポジフィルムを扱うメーカーらしい思想のカメラと言えよう。
独自配列の「X-Trans CMOSセンサー」は、高解像度・高色彩であると同時に、高感度の強さも併せ持つ。同一センサーサイズのカメラでは通常ISO1600が常用限界のところ、ISO3200でも全く問題なく使用可能で、ISO6400でさえ信じられない描写を見せる。光量の少ない条件、例えば夜景でさえもノンフラッシュ手持ち撮影が可能だ。
もちろん、最近主流のフルサイズセンサーを搭載すればさらなる高感度耐性が期待できるが、そのためにはカメラ、あるいはレンズを大きくする必要がでてくる。小型軽量が最大のメリットであるミラーレスカメラにとっては本末転倒な話だ。三脚使用禁止の場所が日を追うごとに増え続ける昨今、この高感度耐性とカメラサイズのバランスはXシリーズを選ぶ一つの基準になり得るだろう。
せっかくの高画質センサーを搭載していても、そこに光を導くレンズの性能がついてこなければお話にならない。その点、Xシリーズにはフジノンレンズという大変頼もしい存在がある。特にレンズ交換式Xマウント用としてラインアップされているフジノンXFレンズはその妥協しない作り故の描写性能を誇る。AF動作の早さやサイズのコンパクトさを犠牲にしてまで全群繰り出し方式を採用した単焦点レンズも用意され、なかでもXF35mmF1.4Rは解像力・色再現性・ボケ味すべてにおいてトップクラスの性能で"神レンズ"と呼ばれ、その描写は圧倒的だ。
Text:Takanori HATTORI